ユーザービリティはサービスの成功を左右する非常に重要な要素です。いくら機能が優れていても、それが使いづらければユーザーがそのサービスを利用し続けてくれません。

では、どうすればユーザビリティの優れたサービスを作ることができるのでしょうか

今回は、ユーザビリティの基本と、優れたユーザビリティのサービスを作り上げるための方法をご紹介したいと思います。

ユーザビリティとは?

ユーザビリティとは、直訳すると「使いやすさ」となります。Webサービスやアプリにおいて、ユーザーがいかに使いやすいサービスを提供することができるかによって、売上やユーザー数などに大きな影響を及ぼします。

Wikipediaでは、下記のように記述されています

国際標準化機構によるISO 9241-11は「特定の利用状況において、特定のユーザによって、ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザの満足度の度合い」と定義し、有効性、効率、満足度を挙げる。

つまり、「特定」のケースにおける使いやすさやユーザーの満足度がユーザビリティを考える上ではとても重要だと言えます。

ユーザビリティはUI/UXデザインに欠かせない要素

サービスのインターフェースをデザインする「UIデザイン」と、そのサービスを通してのユーザー体験をデザインする「UXデザイン」の双方において、ユーザビリティを意識することは非常に重要です。

ECサイトを例に取ると、買い物のステップのどこかでユーザビリティに課題があり、ユーザーが躓いてしまうと売上が減ってしまうなど、直接的な損害を生み出してしまう可能性があります。

他のサービスでも、ユーザーが行う1つ1つのアクションのユーザビリティに問題があると、ユーザー登録完了まで辿り着かなかったり、離脱率の上昇やリピート率低下に繋がってしまいます。

UIデザインやUXデザインでは、美しさや魅力を引き立てるようなデザイン制作やサービス設計を行うのはもちろんのこと、ユーザーにとって使いやすいサービスを目指すことが大切です。

ユーザーの心理を理解する

では、どうすればユーザーにとって使いやすいサービスを作ることができるのでしょうか。

一番の近道は、ユーザーの心理を理解してサービスやデザインの設計を行うことです。

考えればいくらでも挙げることができますが、下記のようなことをユーザー視点で考えてUIやUXのデザインを行ってみましょう。

  • そもそも、なぜユーザーはそのサービスを利用しているのか
  • そのサービスを通して何を実現したいと思っているのか
  • そのサービスを利用するユーザーのメリットは何か
  • サービス利用にあたって、障壁となる要素はどこにあるか
  • サービス利用の障壁を外せない場合、どうすればそれを軽減することができるか

ユーザーの心理を理解するためには、ペルソナやカスタマージャーニーの作成も効果的です。

優れたサービスを作りたければ、とことんユーザー視点に立ってそのサービスやデザインを見つめるようにしましょう。

ユーザーテストを実施する

サービスに関わるメンバーでどれだけ議論を行っても、実際にユーザーに触れてもらわないと見えない部分があります。チームメンバーはそのサービスの内容や背景などを知ってしまっているので、第三者の視点でサービスを考えることができなくなってしまいます。

そこで、ある程度サービスの概要や画面イメージが固まってきたらユーザーテストを行ってサービスの優れている所、課題を発見するようにしましょう。

ユーザーテストの大雑把な流れは、下記のとおりです。

事前説明
まずはテスターに対して、サービスに関する最低限の情報を説明します。ここでたくさんの情報を与えすぎると、優れたテストの結果が得られないため注意が必要です。
実際に操作してもらう
例えば、ECサイトであれば「商品の購入」など、テストの目的だけ決めて、自由に操作してもらいましょう。操作している途中にテスターに話しかけてはいけません。気になることがある場合は、メモに残しておき最後のインタビューで質問するようにしましょう。
インタビュー
実際にサービスを試してみた感想をテスターに話してもらいます。事前に評価シートのようなものを作成しておき、それに記入してもらう形でもいいでしょう。ユーザーから直接意見を聞くことはなかなかできないので、しっかりと意見を引き出すように心がけて下さい。

テストの様子を動画に収めておき、後から確認することができるようにしておくと、より課題が見つかりやすくなります。

Fluid Interfaceから学べること

Fluid Interfaceとは、Appleのデザイナーが提唱するインターフェースデザインの考え方です。

「現実世界の拡張」というキーワードが登場しているように、人間とシステムの間の境界を可能な限り減らし、直感的な操作を提供することによって、使いやすくて分かりやすいサービスを実現することができます。

そこには、フィードバックやアニメーションなど、細かな要素の積み重ねが重要であり、流れるような操作性を提供することができれば、ユーザビリティの高いサービスを作ることができます。

まとめ

ユーザビリティは、ユーザーを一括りにして考えると失敗します。

初めてそのサービスを利用するユーザーと、サービスを使い慣れているユーザーでは習熟度合いが異なるため、ユーザーごとに異なる視点でのユーザビリティを考えなければなりません。

iPhone Xから導入されている「タッチバー」を例に考えてみましょう。タッチバーは、画面下部から上にスワイプのジェスチャを行うことによって、従来のホームボタンを押した時と同様にアプリが閉じ、ホーム画面が表示されます。

タッチバーに慣れている人は、ほとんど意識することなくホーム画面に戻りたい時にはホームバーを上にスワイプしてホーム画面に戻ることができますが、初めてそれに触れる人にはヒントが必要です。

そこで、iPhone Xでは「Swipe up to open」というテキストでしっかりとヒントを提示して、操作に慣れていない人でも困らないようなUIデザインを取り入れています。

すべてのユーザーが使いやすいサービスを作ることは簡単ではありませんが、デザインする側はなるべく多くの情報を元に、ユーザビリティの優れたサービスを目指す努力は欠かせません。

ぜひ、ユーザー視点に立って使い心地の優れた魅力的なサービスをデザインしてみて下さい。