Adobeが提供するAdobe XDが2018年3月のアップデートでSketchファイルとPhotoshopファイルのインポート機能が追加されました。デザインツールを乗り換える時の一番の悩みがこれまで作成したファイルを開くことができなくなってしまったり、以前に作成した素材を転用することができなくなることだと思いますが、今回のアップデートでSketchからAdobe XDへ乗り換えやすい環境が整いました。

どんどん進化が進むAdobe XDですが、そのインポート機能がどのようなものなのか、また3月のアップデートで公開されたその他の注目機能についてもご紹介していきたいと思います。

Sketchファイルのインポート

今回最も注目の機能がSketchファイルのインポートです。Sketchで作成したデザインをAdobe XDにインポートすることによって、Adobe XDで表示するだけでなく編集もできてしまいます。SketchファイルをAdobe XD上で開きたい場合は、ファイルの「開く」からSketchファイルを選択すればインポートすることができます。

実際にSketchのElement UI KitをAdobe XDにインポートした結果が下記の画像のようになります。

見た目は全く崩れておらず、アートボードやレイヤーもちゃんと取り込むことができています。

さらに、シンボルもそのままインポートできているのはすごいですね。ただし、シンボルの名前は消えてしまったり階層構造が崩れてしまったりするので、そこは若干使いづらそうな気がします。とはいえ、元々連携していなかったことを考えるとここまでできているだけでも十分すごいことだと思います。

また、SketchはMacでしか利用することができないので、WindowsでSketchファイルを開きたい場合や編集したい場合にはとても助かりますね。

Photoshopファイルのインポート

Photoshopファイルのインポート機能も合わせて追加されました。デザインの細かい修正はSketchやAdobe XDのようなデザインツールでは難しい場合も多く、IllustratorやPhotoshopを使用する場合が多いかと思います。

また、Photoshopは長年多くのデザイナーによって使われてきた経緯もあり、UIキットや素材が非常に豊富です。それらをAdobe XDにインポートすることが可能になるため、Adobe XDの可能性を大きく広げることになりそうです。

実際にPhotoshopファイルをAdobe XDにインポートすると下記の画像のように取り込まれます。

こちらは、Facebookが提供しているiOS11のUIキットを使用しました。こちらもSketchと同様にレイヤー構造を維持したままインポートできていることが分かります。PhotoshopファイルをAdobe XD上で開きたい場合は、ファイルの「開く」からpsdファイルを選択すればインポートすることができます。

その他の新機能

ドキュメント間でシンボルをコピー

Adobe XDファイル上でコピーしたシンボルを、他のAdobe XDのドキュメント上にペーストできるようになりました。これまでは一度ペーストしてから手動でシンボル化する必要があったので、一度作成したシンボルを使い回しやすくなりました。

グループ化された要素のスタイル設定

グループ化されている要素に対して、一括でスタイルを設定できるようになりました。図形や画像をグループ化しておけば、塗りや境界線を一括で変更することができます。ただし、テキストと図形をグループ化している状態で塗りを変更してしまうと図形の塗りの色とテキストの色が一緒に変更されてしまうので、スタイルの一括設定をうまく活用したい場合はグループ化の際に少し気を使う必要がありそうです。

IllustratorからAdobe XDへのインポート機能も間近か

Photoshopファイルのインポート機能が追加されたことで、気になるのがIllustratorファイルのインポート機能です。ロゴデザインやイラスト制作を行う場合は、Illustratorが現状最も適したツールで、Photoshopよりも重宝して利用されている方も多いと思います。

もしIllustratorファイルのインポート機能が追加されるとなると、さらに作業効率アップに繋がることは間違いありません。現状、Adobeからの発表は特にありませんが、Illustratorファイルのインポート機能の開発を進めていることは間違いないでしょう。今後のアップデートに期待ですね。

まとめ

デザインツール戦国時代と言われているように、最近は本当に様々なデザインツールに関するニュースが出てきていますね。今回のAdobe XDのSketchファイルインポート機能はSketchからAdobe XDへ乗り換える際のコストを大きく下げることに繋がるため、Adobe XD利用ユーザーが増えてくる可能性が高まりました。

一方でSketchはプラグイン機能が非常に協力で、アニメーションの作成機能など、標準機能として提供していなくてもプラグインで機能を追加してしまうことにより、他のツールに無い使いやすさを実現しています。

さらに、InVision StudioやPhaseなど面白そうなデザインツールも続々と情報が発表されており、最終的にどのデザインツールがデザイナーの心を掴むことになるのか読めなくなってきました。

このままSketchの独占状態が続いたまま戦国時代は終わってしまうのか、それとも他のツールがあっと驚く機能でそのシェアを奪うことになるのか、今後の動きから目が離せません。