Webデザイングラフィックデザインなど、様々な分野のデザインのトレンドを取り上げてきましたが、今回は2022年のアニメーションの10個の最新トレンド予測をご紹介したいと思います。

複雑でリアルなCGか、それともLo-Fiなクラシックアニメーション、ダイナミックやタイポグラフィやレトロなスタイルなどがありますが、あなたはどれが好きですか?

いずれにしろ、2022年のアニメーションは「実験的」であることが重要なので、しっかりと準備しておきましょう。

この記事は、GraphicMamaによって公開された「Animation Trends 2022: Experimental and Open-Minded」を許可をいただいて翻訳転載したものです。

3Dアニメーション

常に進化を続けている3Dは、現実には存在しないものにリアルさを出し、複雑なものほど形や色はよりシンプルに表現することを目指しています。

2022年の3Dアニメーションは、かわいらしい丸みを帯びた形と、鮮やかな配色のコントラストが特徴で、まるで粘土の人形に命が吹き込まれたような表現がトレンドです。

子供向けのエンターテインメントに特化した映像や映画でこのトレンドを取り入れることで、素晴らしい結果を得ることができるでしょう。

超リアルなCG

現実とアニメーションの境界線が曖昧になると、「ハイパーリアリズム」というものが生まれます。最新のビデオゲームの映像で「現実よりもリアルだ」と言われるのは、まさにハイパーリズムを感じる例の1つです。

キャラクターの皮膚の小さな毛穴や、細かいところまで行き届いた素晴らしいディテールは、少し不気味さを感じるかもしれませんが、それでも非常に印象的です。

2019年、注目を集めた「Among us」のかわいいキャラクターを覚えていますか?いま超リアルなCGを使えば、このように表現することができます。

サイケデリック

1960年代のねじったり、溶かしたり、歪めたりする美学は、あらゆるデザインの分野で大復活を遂げました。当然ながら、それらはアニメーションの中ではさらにトリッピーで心を揺さぶるように見えます。

このトレンドは、現代社会のカオスを反映していて、内面から力を引き出すカウンターカルチャーのように立ち上がりました。

サイケデリックを取り入れたアニメーションは、驚くほど明晰なビジュアルと魅惑的なデザインで、私たちの持っている自由な精神を目覚めさせてくれます。

しかし、残念なことに、このトレンドはすべての人にとって受け入れやすいものではないかもしれません。あらゆるトレンドに抵抗する存在として、メインストリートの影で見かけることはあっても、スポットライトを浴びることは難しそうです。

少し刺激が強いので、注意して下記の例をご覧ください。

フラットなキャラクター

フラットスタイルは、グラフィックデザインのトレンドとしては目新しいものではありませんが、その人気の高さゆえに次のレベルに達しています。

今やフラットスタイルは単なるトレンドの1つではなく、マーケティング関連のアニメーション、特に何かの説明用の映像においては、フォーマットの1つとなっています。

このスタイルは、複雑なアイデアをシンプルかつ分かりやすく視覚化する際には非常に有効です。

フラットなグラフィックは、アニメーション化しやすく、プロフェッショナルに見せることができます。

マスコットキャラクター

フラットスタイルに次いで、ブランドのオリジナルマスコットがマーケティング関連の映像、説明用の映像、広告などで本格的に活用されています。

Duracellのウワギのような昔ながらのマスコットと比べるとシンプルなものですが、間違いなく実験的でかわいらしい表現ができます。

特に、年々インタラクティブ性が重視されてきているモバイル向けのアプリケーションでは、このトレンドがますます強くなってきていることが分かります。

マスコットは、アプリ全体のデザインとうまく連動し、マイクロインタラクションと相互作用するようにデザインされています。

もしあなたがまだ初心者で、アニメーションや2D・3Dの基本を学び始めたばかりなのであれば、かっこよくて簡単なものから挑戦したいと思うかもしれません。

特に、マーケティングやビジネス向けの2Dの説明用の映像、もしくはインフォグラフィックスのアニメーションを作るのであれば、キャラクターを使うのが一番良い方法でしょう。

自分でマスコットをアニメーションさせたいのであれば、リアルタイムにキャラクターをアニメーションさせられるAdobe Character Animatorが最も人気のあるツールです。

そして、何よりも大切なことは、制作を楽しんで行うことです。

数え切れないほどの無料の素材があり、ダウンロードしてテストし、カスタマイズして使うことができるので、すぐにツールに慣れることができるというのは嬉しいポイントですね。

アウトラインアニメーション

シンプルなグラフィックだからこそ、想像力が膨らみます。

シンプルな線だけでアニメーションを作り上げることができるのは、驚くべきことです。実際、アウトラインアニメーションは、繊細で上品なものから、もっと楽しくてふざけたものまで、幅広い作品を作り上げることができます。

このスタイルは、そのデザインの多様性から、Web/モバイルアプリや説明用の映像などで多く見られることを期待しています。

動くタイポグラフィ

百聞は一見にしかずと言いますが、その正反対のことに挑戦してみると、非常に面白い結果が生まれます。

動くタイポグラフィは、言葉がイメージとなり、概念を模倣し、ビジュアルの1つとして機能します。

このトレンドは、フォントのクリエイティビティと、「読む」という体験をエキサイティングでインタラクティブに変えるという点が非常に重要です。

この人気は主にミュージックビデオから始まりましたが、現在では至る所で見られるようになりました。

レトロ風のアニメーション

レトロアニメーションのオマージュ作品を作ることは、いつの時代でもトレンドの1つです。時代による違いは、鉛筆で1コマ1コマ描かれていたアニメーションの懐かしさを、クリエイターがより現代的なアプローチで表現しているという点です。

このタイプのアニメーションは、フレームの移行が滑らかであることは重要ではなく、むしろその不完全さが重要となります。

実験的なアニメーション

異なるスタイルを混合し、型にはまらない新しいものを生み出すということは、ずっとインディーズシーンと結びついてきました。

幸いなことに、この混沌とした時代、インディーズとメインストリームの境界は縮まり始めていて、クリエイティブで実験的なアニメーションが至る所で見られるようになりました。

アーティストたちは、誇張された表現に遠慮することなく、美しく芸術的な「奇妙さ」を発信しています。

Lo-Fi

実験的なアニメーションのトレンドの次は、2022年のアニメーションのトレンドを締めくくるのにふさわしいトレンドをご紹介します。

2022年のグラフィックデザインのトレンドでは、デザインにおいて人々が最も好むものは、ノスタルジーと美しい「不完全性」という概念であることが分かりました。グラフィックデザインでは「リソグラフ印刷風」、Webデザインでは「ブルータリズム」がトレンドになっています。

そして、アニメーションに関しては「Lo-Fi」の持つ美しいノスタルジックな雰囲気が重要なのです。「Lo-Fi」とは、当初は品質を劣化させた音楽のことを指していましたが、最近ではインターネット上の表現の1つとなっています。

YouTubeにアップされた無数のLo-Fiプレイリストで、時折テープのヒスノイズや、レコードのスクラッチが入るダウンテンポのビートが流れているのを見たことがあるかもしれません。どれもニッチに聞こえるかもしれませんが、Lo-Fiがトレンドになるほど、現代的に生まれ変わった過去の音楽は人々を魅了します。なぜなら、ノスタルジーという強力な美学を利用しているからです。

当然ながら、Lo-Fi音楽の持つ美学は、アニメーションにも通じるものがあります。音楽のコンピレーションで見られた勉強中の少女や、雨の日などの無限ループの映像スタイルは、あえてディテールを消したり、憂鬱さや不完全性を加えたりするなどし、現代のアニメーションの表現の1つになっています。

アニメーションは、ノスタルジー、ロマンチックさ、憂鬱、落ち着き、静寂などを伝えようとしています。

その他のトレンド情報はこちら