デザイナー、開発者、プロダクトマネージャーが一丸となって取り組まなければ大規模なイノベーションを生み出すことはできません。私の経験では、IT業界における成功と失敗を分けるのは、他のどの競合よりも先にプロダクトを生み出し、マーケットに商品を提供することができるかにかかっています。
しかし、ほとんどの場合は順調に進むことはなく、意思決定者はお互いを批判し合い、UXデザインはプロダクト開発においておまけのようなものだと扱われてしまいがちです。これらの意思決定者は「プロダクトとして動作していれば、それで十分だ」というかもしれませんが、今日のマーケットではそれでは不十分です。
企業におけるUXデザインの3つの課題
ユーザーは様々なプロダクトに触れています。そして、競合のプロダクトよりも優れたユーザー体験を提供できなければ、すぐに他のプロダクトに乗り換えてしまいます。扱いづらく、動作が遅いようなプロダクトにユーザーは我慢することはできません。
エンタープライズ向けのソリューションを提供していて、ユーザーにトライアルを試して欲しい場合に、すべてのユーザーがサインアップのプロセスを完了するとは思わないでください。無料で提供しているのかどうかに関わらず、想像以上に複雑なステップが必要になるとユーザーを失ってしまうことに繋がります。すべてのマイクロインタラクションは、優れたユーザー体験を提供することに繋がり、サインアッププロセスの完了率を向上させることにも同様に助けになるでしょう。
ここで、企業におけるUXデザインの3つの課題についてご紹介したいと思います。
コンセンサスにおける課題
大規模になればなるほど、様々な分野のチームが存在しています。それらの分野ごとのステークホルダーの意見を一致させることは簡単ではないため、決定を待たなければならなくなったり、手戻りが発生してしまい、プロダクト開発が送れる原因となってしまいます。彼らを上手くまとめあげ、協力してもらうことによって、プロジェクトを円滑に進められるようになります。
解決法
- プロセス野早い段階でステークホルダーを関与させ、協力者になってもらうこと
- 彼らの名前や肩書きではなく、彼らの目標は何か、それを達成するためにはどのよう課題があるのかを考えてみてください。
- そのプロジェクトに関する主導権を握り、ステークホルダーによる決定を待たずに進められるようにすること
- あなたはその分野の専門家なのです。自信を持ってオーナーシップを発揮してください。
デザイン文化の欠如
大企業にはプロダクトやデザインの文化というものがないかもしれません。これは、組織文化とは異なり、デザインやイノベーションに対して会社がどのように考えているかということが重要です。デザイナーやクリエイティブワーカーがいても、プロダクト開発におけるプロセスの中に組み込まれていない場合が多く、ほとんどがプロダクトマネージャーや開発者から依頼されてUIデザインやUXデザインを作成しているような体制になっています。
解決法
- ステークホルダーに、ユーザーファーストの考え方に基づくアプローチが会社の助けとなることをケーススタディと合わせて説明すること
- UIデザインやUXデザインの小さな変化が優れた結果を生み出した例を探してみてください。理論的な根拠を示すために、UXにおける分析やユーザビリティのテストなどの情報を活用した方がよいでしょう。
- ステークホルダーを間接的に教育することにより、ユーザーファーストの意識を広げてもらうこと
- 1つのアイデアとしては、UXランチのようなものを主催するなど、オフィスでUXについて学べる場を設けるような機会を作ることがおすすめです。そこでユーザー体験の改善に繋がるようなアイデアの重要性を示しましょう。
承認プロセス
企業が大きくなればなるほど、承認プロセスは遅くなってしまいます。複雑な承認プロセスと文書の作成、厳しい締切のルールなどは、プロセスが短期的には上手くいくことに繋がるかもしれませんが、ユーザーファーストのアプローチを取るためには遠回りになってしまう可能性があります。
解決法
- スタートアップのように動くこと
- アジャイル型の開発手法を取り、素早く動けるようにしましょう。
- 権限のあるステークホルダーに早めに相談しておくこと
- 何か承認をもらう必要があるようなことを行う場合、予め権限のあるステークホルダーにそれの重要性を伝えておきましょう。
- プランBを用意しておくこと
- 完璧を目指すがゆえに、プロダクト開発が遅れてしまっては意味がありません。開発者に不可欠な機能がどれなのかを伝えておき、1日の終わりにはそのタスクが完了している方が望ましいです。
まとめ
デザインの重要性は徐々に浸透してきていますが、それでもプロダクト開発におけるデザイナーの立場が弱い企業もまだまだ少なくありません。今回ご紹介した3つのポイントを活用して、本来のUXデザイン業務に集中できる環境を整え、優れたデザイン制作を目指してみてください。
この記事は、UX Planetとのコンテンツ配信契約の元で翻訳転載しています。