少し前から「デザイン思考」という言葉を耳にする機会が多くなりましたが、デザイン思考についてあまり知らない人も多いのではないでしょうか。
デザイン思考は、ビジネスの場で取り入れることによって問題解決のアイデアや、優れた解決策を導き出す時に非常に役に立つ思考法です。
今回は、「デザイン思考」について分かりやすくご説明していきたいと思います。
INDEX
デザイン思考とは?
デザイン思考とは、クリエイティブな視点で物事を捉え、問題を解決するための思考法のことを指します。
デザインと言われると、美しいアート作品であったり、UIデザインやUXデザインのような制作物が思い浮かぶかもしれませんが、「設計」という意味も持ち合わせており、問題解決のための手段を設計するのがデザイン思考の目的です。
デザイン思考と言われるとデザイナーに必要なものと思うかもしれませんが、実際はあらゆる職種の人がデザイン思考を身に付けることによって様々な場面で役立てることができます。
デザイン思考の5つのステップ
デザイン思考は、下記の5つのステップに分けられます。
- 1.共感
- ユーザー視点に立ち、ユーザーの行動や考え、気持ちに共感することによって問題を見つける
- 2. 定義
- 共感から見つかった問題の本質を定義する
- 3. 概念化
- 問題を解決するための仮説を立て、その解決方法となるアイデアや方法を見つける
- 4. 試作
- 問題を解決するためのアイデアや方法を実践してみる
- 5. テスト
- 問題解決を実践してみた結果が優れたものなのか、正しく検証する
プロダクトやサービスを作る時には当たり前に行われていることかもしれませんが、それをビジネスに持ち込むことによって問題解決のための有効な手段となります。
これらの5つのステップは一度行えばいいという訳ではなく、何度も何度もサイクルを回すことによって、より優れた問題解決の方法を見つけることができます。
デザイン思考によって、優れたアイデアが生まれる
デザイン思考を取り入れることによって、ユーザー視点で問題を捉えることができるようになり、結果としていいアイデアが生まれます。
普段からUIデザインなどを行っている人は、ユーザーがサービスやプロダクトを利用するユーザー体験を意識してデザイン制作を行っているはずです。
それをデザイン制作だけでなく、問題解決の場面でも役立ててみましょう。
- 現状の問題点は何か
- なぜそれが問題なのか
- どうすれば解決することができるのか
- どういうアプローチで解決策を導けるか
- それぞれの解決策のメリットとデメリットは何か
いきなり上記のような視点で問題を捉えることは難しいかもしれませんが、意識して考えるようにすればあまり難しいことではありません。
デザイン思考によって、イノベーションが促進される
デザイン思考を行うことによって、物事の本質的な問題を見つけることができます。そして、その問題に対して幅広い角度からアイデアを出していくことによって、新しい切り口の解決策が見つかることがあります。
これまで小手先の応急処置で対応していたような問題も、デザイン思考によって本質的な解決を行うことによって、正しく問題の本質を見つけることができれば、抜本的な解決策が見つかることがあります。
小さなイノベーションから大きなイノベーションまでそのサイズは様々な種類があるかもしれませんが、デザイン思考を取り入れることによってそれに近づくことができるでしょう。
デザイン思考によって、UXデザインが上手くいく
最初に問題解決のための思考法だとご説明しましたが、デザイン制作とデザイン思考が関係ないということではありません。
デザイン思考で重要な要素の1つが、ユーザー視点に立つということです。昨今では、UXデザイナーと呼ばれる職種の人が重宝されており、「ユーザー体験」はプロダクトやサービスの企画においてとても重要なテーマの1つとなっています。
ユーザー体験を向上させたければ、ユーザー視点に立ってプロダクトを見つめなすというデザイン思考の5つのステップの「1.共感」が重要です。
そして、「共感」「定義」「概念化」「試作」「テスト」を繰り返してプロダクトやサービスを完成形へと近づけています。プロトタイプを使ってブラッシュアップしていくプロダクトのデザイン手法は、まさにデザイン思考の考え方に則った方法だと言えますね。
デザイン思考を成功させるコツ
次に、デザイン思考をうまく活用するためのコツをご紹介したいと思います。
新しい視点からものごとを考える
デザイン思考は、目の前の課題を解決することだけを目的にしてしまうと上手くいきません。
正しく問題を「定義」して、これから取り掛かろうとしている問題を正確に捉えることが大切です。そのためには、下記のようなことを考えてみると良いでしょう。
- 今問題だと認識しているものは本当に真の問題なのか
- 前提が変わるとそれは問題ではないのではないか
- どうすれば解決したと言えるのか
改めて「問題」だと認識しているものを新しい視点で考えることにより、異なる切り口での解決策が見つかるかもしれません。
デザイン思考の5つのステップの「2.定義」をしっかりと行うことが大切です。
例えば、「今月中に売上が100万円達成しなければプロジェクトが失敗する」という問題に直面しているとします。
ここで「売上が100万円達成しないとプロジェクトを成功させることはできない」という仮定が生まれてしまっているのではないでしょうか。
それは、本当にそうなのでしょうか?もしかすると、費用を削減すれば利益が増えて乗り越えられるかもしれません。また、スポンサーを見つけることができれば収支を改善することができるかもしれません。
まずは、仮定として決めつけてしまっていることを見つめ直して正しく問題を定義するようにしましょう。
早いサイクルでいくつもの検証を繰り返す
とある問題について、ずっと解決策を考えていても必ず優れたアイデアが生まれるとは限りません。また、アイデアとして生まれてくる解決策はきっと1つではないはずです。
会議室やデスクでずっとアイデアを考えるのではなく、早いサイクルで解決策を実践して新たな知見や情報を得ることの方が重要です。
デザイン思考を使ってクリエイティブなアイデアを生み出すためには、早く行動に移してどんどん試すことが大切です。
プロダクトのデザインを行う時にプロトタイプを作ってフィードバックを得てブラッシュアップを繰り返すように、問題解決の場でも試作と改善を繰り返していくことによって、優れた結果を生み出すことができるでしょう。
デザイン思考が学べるおすすめの書籍
最後に、デザイン思考を学ぶためのおすすめの書籍をご紹介します。
デザイン思考が世界を変える
デザイン思考を提唱するデザインファーム「IDEO」のCEOによって書かれた、デザイン思考の大切さや活用法などに関する書籍です。
クリエイティブ・マインドセット
こちらもIDEOの創業者と共同経営者によって書かれたデザイン思考のノウハウを学ぶことができるおすすめの書籍です。「自信」がいかに大切なのかをこの本によって学びました。
まんがでわかるデザイン思考
「難しい本は苦手」という方は、マンガでデザイン思考を学べるこの書籍がおすすめです。「観察」「ブレインストーミング」など、デザイン思考に活用できる実践的な方法が分かりやすく説明されています。
まとめ
これからの時代は、デザイナーがもっとビジネスの中心に立って様々なプロジェクトが進められていくようになります。
UXデザイナーという職種は、まさにプロダクトやサービスをクリエイティブな視点で作り上げていくというビジネス寄りの職種ですね。現在はUIデザインやグラフィックデザインを行っているという人も、これからビジネスサイドに関わっていくことも多くなっていくのではないでしょうか。
もし機会があれば、「デザイン思考」を活用してクリエイティブな観点で問題解決やビジネスに挑戦してみてください。