Webサイトやサービス作りには、デザイナーとエンジニアのどちらもも欠かせません。
Webサイトであれば、デザインからコーディングまで一人で済ませてしまう場合もあるかもしれませんが、大規模なサービスになってくるとそれぞれチームを組み、分業体制で進めるのが一般的です。
デザイナーとエンジニアがいい関係を築いてサービス作りを行わなければ、優れたサービスが生み出されることはありません。
今回は、デザイナーがエンジニアに「絶対」言ってはいけないNGワードや、デザイナーとエンジニアのコミュニケーションの取り方についてご紹介したいと思います。
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デザイナーがエンジニアに絶対言ってはいけないNGワード
デザイナーとフロントエンドエンジニアは常にコミュニケーションを取って業務を行います。
その中で、デザイナーが発したちょっとした一言がエンジニアを苛つかせたり、モチベーションを下げたりしてしまう可能性があります。
おそらくみなさんの周りにはこんなことを言う人はいないかもしれませんが、下記のNGワードはエンジニアに対して言わないようにしましょう。
すぐできますよね?
ちょっとプログラミングやコーディングの知識がある人が言ってしまいがちな一言です。
作業量自体はそこまで多くなくても、エンジニアは1日、1週間単位で作業計画を立てている場合があります。
差し込みの作業が入ると、その計画が崩れてしまい、エンジニアのストレスに繋がります。
プログラムを書いているときは、集中して進めたいと考えている人も多く、それを邪魔してはいけません。
急ぎで反映したい修正がある場合は、理由をしっかりと説明し、申し訳無いという思いを伝えた上で、作業してもらえないか聞いて見るようにしましょう。
そんな時間かかるんですか?
プログラミングやコーディングをあまり理解していないデザイナーが言ってしまいがちな一言です。
デザイナー観点では簡単な修正であっても、エンジニアからすると手間な修正なんてことは頻繁に発生します。
特に、アプリのUIデザインなどはとても複雑で、Webであれば1行コードを追加するだけで済むような修正が、色々な箇所に修正を行わなければ実現できないような場合だってあります。
なんでこれができないんですか?
さすがにこれをエンジニアに面と向かって言う人はいないと思いますが、内心そう思ってしまうことはあるかもしれません。
これをエンジニアに言ってしまうと、イライラの原因になったり、モチベーションを下げることになってしまいかねません。
サービスの開発に使用するプラットフォームやフレームワークによって、簡単にできることとそうでないことがそれぞれ異なります。
ただし、実現することができない理由を共有してもらうというのはとても大事なことです。伝え方や聞き方に気をつけて、聞いてみるのは問題ありません。
いい感じにやってください
これも、エンジニアからすると人によってはストレスに感じる一言です。
例えば、ボタンにマウスカーソルを合わせた時のデザインや、ちょっとしたアニメーションなど、「いい感じに」「それっぽく」と言ってしまう人がいますが、そもそもこれを定義するのがデザイナーの仕事です。
もちろん、エンジニアとコミュニケーションがしっかりと取れていて、信頼関係が築けていればそういう頼み方をしても問題ないかもしれませんが、すべてのエンジニアがそうではありません。
なるべく細かくデザインを作成して、分かりづらいところには説明を入れておくなど、心遣いを見せてあげましょう。
どうしてもそれができない場合は、参考になるサービスを伝えて、「このサービスのこの部分みたいな動きにしたい」のように伝えると、共通認識が取れて上手く進めることができます。
なぜすれ違いが発生するのか
デザイナーとエンジニアの間ですれ違いが発生してしまう理由は、どちらも専門性が高く、領域が全く異なることが大きく影響しています。
相手の業務を正確に理解することができず、すれ違いが発生することがミスコミュニケーションの原因になります。
例えば、サービス作りにおけるそれぞれのミッションは下記のようにそれぞれ異なります。
- デザイナーがサービス作りで大事にするポイント
- UIデザインにおける使いやすさ、美しさ
- エンジニアがサービス作りで大事にするポイント
- 仕様通り、設計通りに正しく動作すること
例えば、デザイナーから「ここが何ピクセルずれてるから直してください」と言われても、エンジニア視点ではそこまで重要な修正であると感じないことがあります。
いい関係を築くためには、相手の実現したいこと、ミッションを理解し、お互いにとって望ましい形を実現するにはどうすればいいのかを考えることが重要です。
エンジニアに対してデザイナーがすべきこと
どのようなサービスを作るにしても、エンジニアの力を借りなければ何も作ることはできません。
エンジニアと上手くやれるデザイナーになるためには、下記の項目に注意すると、円滑に業務が行えるようになります。
まずはコミュニケーションをしっかりと取ろう
エンジニアといい関係が築けていないデザイナーによくありがちなのが、デザインだけ作成して後は丸投げするような人です。
エンジニアはサービス開発のための道具ではありません。
例えば、デザイン制作中に一度見てもらって実現難易度を相談したり、業務の中以外でもコミュニケーションを取ってみるなど、まずは気軽に話しかけられるような関係性を作りましょう。
もちろん人によっては話をするのが苦手な人もいるので、それぞれの個性に合わせたコミュニケーションの取り方が必要です。
まずは感謝を伝える・褒める
エンジニアの作業が完了し、レビューの依頼が来た時には、まず感謝を伝えたり、それを褒めてあげるようにしましょう。
褒めて上げるというと上から目線に聞こえるかもしれませんが、「もうできたんですね!」「いいかんじですね!」という簡単な言葉で構いません。
間違っても、下記のようなコミュニケーションを取ってはいけません。
ダメな例
- エンジニア
- 「レビューをお願いします!」
- デザイナー
- 「ここのこの部分とこれが違いますね。修正してください。」
エンジニアと上手くコミュニケーションを取るためには、下記のように伝えるべきです。
良い例
- エンジニア
- 「レビューをお願いします!」
- デザイナー
- 「ありがとうございます!いいかんじですね!ほぼ問題ないんですが、ここだけちょっとこうしてもらえませんか?」
このように、まずは感謝を伝え、相手の成果を認めた後で、修正してほしいことがあればお願いするようにしましょう。
「馬鹿みたい」と思うかもしれませんが、こういう些細なやり取りがエンジニアのモチベーションを大きく左右することになります。
五月雨式に依頼を投げない
思いついたらすぐにSlackやSkypeで修正依頼をチャットで送る人がいますが、そうではなくて修正点はしっかりと整理して依頼を投げるようにしましょう。
頻繁に修正依頼のチャットが届くと、その度に作業を中断して確認しなければなりません。それでは効率が悪いですし、集中も切れてしまいます。
修正依頼を投げる時は、しっかりと修正事項を整理して、できればそれに優先度を付けて相談するようにしましょう。
また、チャットで済ませるのではなくて、10分や15分だけミーティングの時間をもらって、口頭で説明した方がいいですね。チャットやタスク管理ツールで修正事項だけ飛んでくると、人によっては命令されているような気分になってしまうこともあります。
プログラミング、コーディングを理解しよう
デザイナーがプログラミングやコーディングを学ぶことは非常に良いことです。どうやって作られているのかを理解することができれば、実現しやすいデザインと、手間のかかるデザインが感覚でつかめるようになります。
Webコーディングの基本であるHTMLやCSSはWebデザイナーであれば、スキルを身につけておくと業務の幅が広がるチャンスにも繋がるので、ぜひ身に付けておきましょう。
iOSやAndroidのアプリ開発については、一度は挑戦してみた方が良いと思いますが、おそらくほとんどの人が難しすぎて途中で挫折するか、初級レベルを終えて複雑さを知り、その先へ進むのをやめてしまうと思います。
それくらい、エンジニアは複雑なコードを書いてサービスを作っています。身をもってそれを知るためにも、デザイナーであれば一度は挑戦してみてはいかがでしょうか?
デザイナーに対してエンジニアがすべきこと
ここまでデザイナー目線ですべきことを書いてきましたが、今度はエンジニア目線でデザイナーに伝えておいた方がいいことも少しご説明したいと思います。
デザイナーにもよりますが、基本的に開発のことはほとんど理解していないと思っておいた方がいいです。
できないこと・難しいことを先に伝えておく
環境や開発期間、フレームワークの制約などで実現が難しいものがあれば、なるべく早めに伝えておくようにしましょう。
デザインは色々な要素が絡み合って構成されています。一部に変更が入ると、いろいろな箇所に修正が及び、デザイン全体の手直しが必要になる場合もあります。
できないこと、難しいことをデザイン制作前や、完成する前の作業途中で伝えることができれば、デザイナーもそれを踏まえた形でデザインを作ることができ、結果としてデザイナーもエンジニアも手戻りを減らし、効率よく業務を行うことができます。
スケジュールへの影響を伝える
あれもこれも、とデザイナーから要求が来た場合には、それに対応することによってスケジュールにどのような影響が出るのかを説明するようにしましょう。
デザイナーも、意地悪をしたいわけではありません。優れたサービスを作りたいがゆえに、色々な要求をしてしまうものです。
しかし、どんなサービス作りにもスケジュールが引かれていて、基本的にはスケジュール通りに完成させなければなりません。
もしも、スケジュールに大きく影響するような要求がデザイナーから来た場合には、それを対応することによってスケジュールにどんな影響が出るのかを説明したら良い落とし所が見つかったということがよくあります。
それによって、本当に重要な修正だけは対応して、それ以外はフェーズを分けて対応するなど、全体最適な進め方を見つけることができます。
一方的に「できません」というのではなく、その理由や背景を伝えることによって、デザイナーにも納得してもらいやすくなります。
代替案を伝える
例えば、何か依頼が来て、それを対応するのが難しい場合には代替案を伝えてあげるようにしましょう。
デザイナーは、どんな対応がどれくらい工数のかかる作業なのか理解していません。そのため、ある意味無邪気に理想を追求して依頼を投げてきます。
そのため、それを一部変えることによって工数が激減するようなことがあれば、積極的にその代替案を伝えるようにしましょう。
そうすると、大抵の場合は「それで大丈夫です!」というような返答が返ってくるはずです。それが受け入れられない場合には、上記のようにスケジュールへの影響などを伝えて対応するか否かを検討するようのが望ましいですね。
まとめ
デザイナーもエンジニアも、目指している所は「優れたサービスを作ること」で同じであるはずです。
エンジニアからすると「何度も何度も修正依頼が来てめんどくさい」と感じたり、デザイナーからすると「なんでこんなに修正依頼を投げないといけないんだ」と感じることがあるかもしれません。
それぞれデザイナー、エンジニアといっても1人1人スキルのレベルが異なり、全員がパーフェクトに業務をこなせるわけではありません。
しっかりと相手を尊重し、かつコミュニケーションを適切に取ることによって、チームの雰囲気もよくなり、サービスのクオリティ向上にも繋がります。