9月26日に「LINE」が主催する技術者向けカンファレンス「LINE DEVELOPER DAY 2016」が開催され、chatbotに関する数々の発表がありました。「LINE」は日本でもっとも利用されているメッセージングアプリとして大きなシェアを占めています。そのLINEから、一体どのような発表があったのか。重要なポイントに絞ってご紹介していきます。
メッセージタイプの追加
facebookメッセンジャーのように、チャット画面の中にボタンが設置できるようになりました。これによりチャットボットで実現できる機能の幅がぐんと広がりますね。
メッセージタイプの種類
- Confirm Type
- Button Type
- Carousel Type
yes / no で答えるような質問に対してユーザーが選択できるボタン
複数の選択肢の中からユーザーが選択できるボタン
複数の項目が並んでいる時、それぞれに対してアクションを設定しておき、ユーザーが選択できるボタン
紹介されている画像では、ピザの注文の際にサイズをボタンで選択できるようになっていたり、店舗を検索した時に予約したり電話したりするなどアクションを選択できるボタンが表示されています。これまではテキストで入力したり、キーボードエリアにしかボタンを設置することができなかったので、より使いやすくなり、LINE上での色々なアクションがよりスムーズに行えるようになります。
広がるチャットボットの可能性
これまで、LINE上でのチャットボットは基本的にユーザーがテキストを入力するやりとりに限定されていました。facebookメッセンジャーでは以前から今回LINEが発表したようなボタンを設置する機能が公開されており、それによって様々なbotが話題となってきました。
ここで押さえておきたいポイントはユーザーはbotとテキスト入力でやり取りするのは手間だと思うということです。開発者側としてはどんなテキストを入力されても対応できるようなbotを作ることを目指してしまいがちですが、ユーザーの立場になって考えてみてください。
例えば、チャットボットを通して飛行機の航空券を購入する場合を考えてみましょう。人数や日にちをわざわざ「2人」「9月30日」と入力するのはスマートでしょうか?おそらく選択肢の中からボタンで選択するほうが使いやすく、時間もかかりません。ユーザーはテキスト入力するよりも選択肢を提示されて選択する方が使いやすいケースも多いです。
今回メッセージタイプが追加されたことにより、今後様々なbotがLINE上に登場し、使われる機会が増えることは間違いないでしょう。
LINE@でMessaging APIが使えるように
これまでLINEビジネスコネクトを利用しないと多くの人がトークできるチャットボットは実現できませんでした。しかし、このMessaging APIの公開により、LINE@のアカウントやLINE公式アカウントでもbotを公開できるようになりました。
Messaging APIの種類
ユーザーの発言に反応するにはReply APIを使い、ユーザーが発言していない時にトークを送信するにはPush APIを利用します。
フリープランでも”有効友だち数×吹き出し数”が1000通までということで、十分な数のメッセージに対応できそうです。また、ベーシックプランが5,400円/月、プロプランでも21,600円/月ということで、お手頃な値段でbot大規模なbotの運用ができそうです。
今後botの数は増加する
LINEビジネスコネクトは比較的費用がかかるため、LINE上に存在するbotの数は他のメッセージアプリと比べて多くありませんでしたが、費用を抑えて運用できるLINE@に登場したことにより、今後LINEでのbotは急激に増加することが予想されます。
アーリーステージのボット投資家による7つの予測という記事によると、ボットは人と同じように有名になると述べられています。今回の発表をきっかけに、LINEでもみんなが愛用するような有名なbotが生まれることでしょう。
まとめ
今回の「LINE DEVELOPER DAY 2016」では、LINEが本格的にbotを利用できる環境を整えたことがわかりました。日本で最も利用されているメッセージングアプリのLINEでbotの利用環境が整えられると、日本人がチャットボットに触れる機会は今後増えていくと思われます。
海外のチャットボットのレベルはどんどん高くなっており、今後どれだけ日本のbotがついていけるか、追い越せるが注目ポイントですね。日本語は言語のタイプから機械学習で扱いづらい言語であると言われていますが、どうなのでしょうか。
すでにMicrosoftのりんなや、リクルートのパン田一郎など、いくつか優秀なチャットボットは日本でも登場してきています。今後もっとこういったチャットボットが増えてくることに期待したいですね。