2020年はコロナウイルスの影響で、これまでに経験したことの無い1年になりました。その一方で、オンラインの世界ではその影響で急速に様々な変化が生まれています。オンライン教育、オンラインショッピング、リモートワーク、娯楽など様々な分野で大きな成長を遂げることとなりました。
多くの人々、そして企業はこの変化に迅速に適応する必要があり、顧客のニーズに合わせ、テクノロジーやトレンドと共に変化しなければなりません。
トレンドやテクノロジーは成長し続けているため、第一線に居続けるためには水面下で何が起こっているのかを知っておく必要があります。
Webサイトのデザインにおいては、高速化、ユーザビリティ、セキュリティ対策、バッテリーへの配慮、ダークモードの台頭など、著しい変化がありますが、それと同様にグラフィックデザインのトレンドも大きく変化しています。
上記のような項目はWebデザインだけに当てはまることではなく、企業のブランディング、ロゴデザイン、マーケティング、イラスト、そしてグラフィックデザインという様々な分野へ影響を与えています。
それでは、2021年のグラフィックデザインのトレンドをご紹介していきたいと思います。
この記事は、GraphicMamaによって公開された「Graphic Design Trends in 2021 That Will Cause Revolution」を許可をいただいて翻訳転載したものです。
INDEX
3Dグラフィック
3Dグラフィックというテーマは前から存在していましたが、近年その注目がさらに高まってきています。これには技術の進歩やソフトウェアの発展により、表現できるものの幅が広がっていることも大きく影響を与えているでしょう。
WebデザインやアプリケーションにおけるARとVRの登場や、インターネットやテクノロジーの高速化、驚くべきソフトウェアの進化など、あらゆる側面でデザイナーが3Dに挑戦するための環境が整ってきています。
デジタルの世界と現実世界の境界線がわかりづらくなるほど、とてもリアルな3Dグラフィックを作ることができるようになりました。また、3Dグラフィックはとてもインパクトを持った表現であり、グラフィックデザインの中心に位置する重要な存在になりつつあります。
写真やフラットなイラストと3Dデザインを組み合わせたり、アニメーションと組み合わせることによってさらにオリジナリティの溢れるデザインを生み出すことが可能です。
このような3Dデザインを取り入れることは、純粋に魅力的に見えることや、芸術的な作品を作ることができるというメリットだけではなく、そのデザインを見た人の関心を集め、注目を集めることができるという点にあります。
実用的で魅力的な3Dデザインは、その勢いが止まらなくなってきています。そのトレンドを理解するためには、下記の素晴らしいデザインを参考にしてみてください。
絵文字を取り入れたデザイン
最近では、「絵文字」をデザインの中で見かける機会も多くなりました。絵文字を使うことで、文章やWebサイト、印刷物の中に「感情」を表現することができます。もはや絵文字がコミュニケーションの中心にあると言っても過言ではないでしょう。
これはSnapchatやInstagramなどのソーシャルメディアに限った話ではなく、デザインの中にも絵文字を取り入れることで、コミュニケーションを活性化することができます。
これはリアクションやレスポンスを分かりやすく表現したり、感情を直感的に伝えることができるという点が影響しています。
上記のような理由から、デザインの中に絵文字を取り入れるという傾向は、今後数年間でさらに勢いをます可能性が高いと考えています。そして、そんな普遍的なものをデザインに取り上げる時こそ、デザイナーのスキルが試されます。
2021年は、クリエイティブで想像力を持った絵文字を取り入れたデザインがトレンドになるでしょう。
ネイチャーインスパイアードデザイン
有機的で、柔らかな自然を取り入れた「ネイチャーインスパイアードデザイン」は、過去10年ほどの間、大きな注目を集めることは無いものの、常に存在し続けていました。
自然や太陽光、柔らかくて素朴な色のトーン、ナチュラルなグラデーション、流れるようなラインを表現するこの手法は、ミニマリズムとの相性が抜群です。
落ち着いた配色やイラストと組み合わせやすく、自然な雰囲気を生み出すためのカラーフィルターや、木、石などのテクスチャーを利用することもできます。このようなデザインが、ここ1年で更に脚光を浴びることとなるでしょう。
現在のコロナ環境下において1つの注目すべきなのは、外出や行動を制限されることによって、「自然に触れたい」という想いが人々の心の中で強くなっているという点です。
特に商業デザイナーは、人々の気分を上手くデザインに反映させることで、素晴らしいデザインを作ることができる可能性があります。そう、山に行けないのであれば、山を生み出せばいいのです。
そして、自然の持つ本質的な性質は、あらゆるデザイン、技術、商業分野に適しています。2021年に人々が求めるデザインのトレンドが、このインスピレーションの源であることは喜ばしいことです。
目の錯覚を取り入れたデザイン
目の錯覚が使われたデザインや作品を目にした時、人々は自然と長い時間そこに注意を向けて、どのような仕組みになっているのか解き明かしたくなるという衝動に駆られます。
このように、目の錯覚を利用したデザインは、日々様々な情報に触れ続けている人々の注意を引き付けることができます。2021年は、この「目の錯覚」を利用したデザインがトレンドの1つとなることでしょう。
あなたのブランドが奇妙なイメージや、スピリチュアルなイメージを持っていればこのスタイルはさらに適していますが、単に記憶に残りやすいという点や、目立つことが必要な場合などには目の錯覚を利用したデザインが成功の鍵となるかもしれません。
正しく捉えようとすると長い時間凝視してしまうため、人々の注意を惹き、興味を持ってもらうための魔法の手段となりえます。
ただし、すべての人が時間を持て余しているわけではありません。そのため、複雑すぎず適切な範囲で、より印象に強く残るようなデザインを生み出すことが必要になるでしょう。
3Dタイポグラフィ
2020年は、様々なデザイナーがタイポグラフィの中に遊び心溢れるアイデアを取り入れ、多くの人に受け入れられました。タイポグラフィには、常にアートの対象の1つとして、多くのデザイナーに取り上げれれています。
2021年のタイポグラフィはどうなるのかというと、新しく何かが生まれるのではなく、タイポグラフィを3Dで表現するスタイルが注目されています。
手を触れることができてしまいそうな、よりリアルな3Dレンダリング技術に加え、アニメーション、テクスチャ、パターンなどの要素を組み合わせることで、無限大の可能性を秘めています。
実際、タイポグラフィはグラフィックデザイン業界において注目されるテーマの1つとなりつつありますが、トレンドに合わせたテクニックを組み合わせることで、驚くほど想像力が豊かなデザインを作り上げることができるでしょう。
マンガ風のイラスト
複雑なグラフィックやスッキリとしたデジタルならではの表現、ミニマリズムの洗練されたデザインなど、Webサイトでよく見かけるスタイルがありますが、オリジナリティ溢れるイラストを利用することによってそれらの中から自分のデザインを目立つ存在に仕上げることができます。
イラストは、これまで以上に多様になっていて、人々を楽しませたり、デザインのアクセントとして使いやすい存在となっています。
多くの人がイラストに興味を持っており、このトレンドは今後も続いていくことは間違いありません。特にイラストの中でも、2021年はマンガ風のイラストが大きな注目を集めることになりそうです。
マンガ風のイラストは、多様性を持ち、様々な場所で利用する事ができるほか、人々を笑顔にすることができます。記憶に残りやすいためブランディングにもぴったりで、商品やWebサイトの雰囲気を作りあげることもでき、Webサイトや名刺、ポスター、プレゼンテーションの資料など非常に幅広いデザインの中で利用することができます。
以下にお気に入りのデザインをご紹介します。これらのクオリティ、多様性、そしてスタイルの組み合わせなどをチェックしてみてください。
ゴールドデザイン
すでにプロダクトデザインの中で人気となっていますが、ゴールドデザインが2021年非常に大きな人気を集めることになるでしょう。
メタリックデザインは、ミニマルデザインとの相性も抜群ですが、それ自身が注意を引き付けることができるため、細かな要素に視線を集めることができます。
高級感のあるメッキ加工
ゴールドは、豪華で効果な印象を与えることができます。何気ないアイテムでも、そこに金メッキを加えることで特別感を生み出すことができます。。下記の例を見ることで、このトレンドが2021年どのように登場するか理解することができるでしょう。
ゴールドとその他の要素の組み合わせによるモダンなスタイル
2021年には、ゴールドとその他の素材を組み合わせたり、想像力に富んだ様々なデザインが生み出されることになるでしょう。ゴールドと組み合わせることによって印象的なコントラストが生まれ、人々を驚かせることができます。
ボクセルアート
ボクセルとは3Dのキューブのことです。ボクセルアートは、ピクセルアートが3Dになったものと考えれば分かりやすいでしょう。レゴブロックのように直感的に理解することができ、マインクラフトを筆頭に様々なゲームでボクセルアートが使われています。
ここ数年で3Dデザインは大きな注目を集める存在となっており、それと同時に幾何学図形を組み合わせたようなデザインもトレンドに登場しています。ボクセルアートは、まさにその2つを組み合わせた存在なので、これがトレンドに入るのも必然的な流れだと考えることができます。
子供でも分かるようなシンプルさや、レトロな魅力を持ち合わせながらも、モダンな印象を与えられる点がボクセルアートの特徴です。
下記の厳選されたコレクションに目を通すことで、どのようなことができるのか分かるはずです。どれもとてもダイナミックで楽しく、そして印象に深く残ります。
モノクロとデュオトーン
限られた色数でデザインを作るというアイデアはモダンデザインにおいてよく使われる手法です。その滑らかでクールな見た目の魅力も影響していますが、複雑なデザインが増えてきていることも影響しています。
複雑なデザインは情報量が多くなってしまいがちですが、色の数を制限することによってデザインを単純化することができ、より分かりやすく仕上げることができます。
モノクロのフィルターを利用したり、デュオトーンの取り入れ方のアイデアを考えるなど、自身の表現の幅を広げていくことができます。
多くの人がPCの前で過ごす時間が増えてきていますが、それに伴ってWebサイトのデザインも落ち着いたものが求められているという考えがあります。
配色はその答えの1つであり、デザインに統一感を持たせ、色の持つエモーショナルな効果を発揮することができます。
幾何学図形
幾何学図形を組み合わせて1つのデザインを作り上げるというスタイルは、ここ数年ずっと注目されていますが、2021年にピークを迎えると考えています。
幾何学図形は、鮮やかな色のブロックを組み合わせることにより、想像力豊かなデザインを生み出すことができます。
3Dの幾何学図形
まずは、2021年注目されている3Dを取り入れた例からご紹介していきましょう。
シンプルなブロックに3Dの奥行き、シャドー、グラデーションをうまく組み合わせたデザインが2021年に大流行するでしょう。シンプルかつ魅力的なデザインなので、想像力に富んだ作品を生み出せる大きな可能性があります。
シンプルな幾何学図形
シンプルなものに工夫を凝らして印象的な作品を生み出すことはアートとしての魅力があり、2021年に注目したいポイントです。
1つ1つの図形はとてもシンプルですが、それらを組み合わせることによって抽象的で、魅力的なデザインを作り上げることができます。
タイポグラフィカオスデザイン
タイポグラフィは、よくその時代背景を反映していると言われています。アールヌーヴォーと呼ばれる19世紀から20世紀の初頭にかけて発生した美術運動では、過去からの脱却を目指した社会の動きが顕著に反映されていました。
困難を迎えている時期には、特にノスタルジックスタイルやヴィンテージスタイルが流行してきましたが、このコロナ禍という厳しい時代において、「カオス」なタイポグラフィはある意味必然的かもしれません。
テキストをあえて煩雑に配置したり、順番を入れ替えたり、オリジナリティ溢れる「タイポグラフィカオスデザイン」の例をご覧ください。
カラーレスデザイン
色とりどりの世界において、「カラーレス」という存在はどこか心地よく感じるものがあります。明るくて大胆な配色は、注目を集めるという目的には適した手段の1つですが、2021年はその反対の動きにも注目してみましょう。
様々な情報が錯綜し、奇抜なデザインが増えている中、それらと勝負するためには真正面からではなく、真逆の方法で対抗するのが賢い選択肢かもしれません。
2020年は、少し落ち着いた配色が流行していましたが、2021年はさらにその動きを進めた「カラーレス」が注目を集めることになるでしょう。
古典的で、ソフトで、繊細で、少し不気味な魅力を持ったモノクロのデザインは、催眠術のような魅力と、ノスタルジーを持ち合わせています。
それは決して退屈なものではなく、ある種の雰囲気を生み出し、その他のアニメーション、シャドウ、有機的な図形、コンテンツなどを引き立てる効果を持っています。さらに、近年注目を集めているダークモードとの相性にも優れていますね。
この古典的なスタイルは様々な目的のために使われますが、単に白黒のグレースケールの話に限ったものではありません。このトレンドは柔らかいセピア色など、最小限のハイライトカラーを合わせて使うこともできます。
まとめ
Webデザインと同様に、グラフィックデザインの領域においても「3D」が2021年の大きなトレンドとなりそうですね。
ボクセルアートのように、これまでデザインを3Dに置き換えることで新しいデザインを生み出すという考え方は、幅広く利用することができ、覚えておくと役に立つかもしれません。
ぜひ、上記のトレンドを踏まえてグラフィックデザインに挑戦してみてください。