デザインと心理学は、とても密接な関係にあります。例えば、記事の中に見出しを付けなければならないという常識も、人間が視覚的に情報を処理しやすくなるためです。
マジカルナンバーやゲシュタルトの法則、色彩心理など様々な法則や効果がありますが、なんとなく覚えていても、はっきりどんなものなのか説明できないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、デザインにおける心理学にテーマを絞って書かれた「[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61」という書籍についてご紹介したいと思います。
INDEX
[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61
2018年8月1日に発売された「[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61」では、心理学をUIデザインに活用するための61の技法が紹介されています。
タイトルに「買わせる」とありますが、ECサイトに限った話ではありません。あらゆるサービス、プロダクトのデザイン制作を行う上で役に立つ心理学のテクニックや技法が幅広く紹介されている書籍となっています。
下記については、どの項目が重要なのか紹介されているので、時間がない方も目的に絞って読んでみるといいでしょう。
- コーポレートサイト
- ECサイト
- 広告ランディングページ
- アプリ開発
心理学を身につけることによるデザイン制作へのメリット
UIデザインに心理学のテクニックや技法を取り入れることによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
デザインの真の役割を果たせる
Webサイトやアプリというのは、必ずサービスを作る目的があります。ECサイトであれば、商品の購入やリピーター獲得。広告のランディングページであれば、コンバージョンすることが目的となります。
その中で、デザインが果たすべき役割というのは、サービスの目的を達成させるということです。サービスを正しくデザインすることによって、より使われるサービスとなり、KPIや売上に大きく影響します。
デザインはただ「かっこいい」、「おしゃれ」というだけでは意味がありません。心理学をデザインに取り入れることによって、より多くの人が使ってくれるサービスとなるための正しく、理論に基づいたデザイン制作が行えるようになり、デザインの真の役割を果たせるようになります。
デザインの説得力が増す
上級デザイナーであれば、1つ1つのデザインに対してしっかりとした根拠があり、説明もしっかりとできると思います。しかし、デザイン初心者の場合は答えられないことが多いです。心理学をデザインに取り入れることによって、「なぜそのデザインなの?」という質問に対して、明確な答えを持てるようになり、デザイナーとしての信頼感も向上することでしょう。
社内の人に対する説明であればいいかもしれませんが、クライアントに対してデザインの説明をするとなると、難易度は急に上昇します。心理学の理論や技法を元にデザインを作ることによって、しっかりとした説明ができるようになり、デザイナーとしての評価も増えるのではないでしょうか。
色々なデザインの理由が見えてくる
例えば、Webサービスの料金プランのデザインであったり、人物の画像が使われている広告バナーのデザインなど、認知心理学の知識を得た後で見てみると、そのデザインが採用された理由が分かるようになってきます。
Webサービスであれば実際にサービスに登録してもらったり、広告バナーであればクリックしてもらうなどコンバージョンに繋げるためには、見た目の美しさやインパクトだけでなく、人を動かすためのデザインを作らなければなりません。
具体例を見てみる
ここで、書籍で紹介されているテクニックや理論の中からいくつかご紹介したいと思います。出版元に許可をいただき、書面の一部を掲載しています。
ゲシュタルトの法則
デザインの四大原則にもゲシュタルトの法則の一部が取り入れられていますが、人間は知らず知らずのうちに、目で見たものを保管して認識してしまいます。
プロトタイプ理論
デザインでもカテゴリに分類することは多いと思いますが、その目的によって適切なカテゴリの分け方が異なってくるため、しっかりと検討することが必要です。
フィッツの法則
「操作のしやすさ」は数式にして表現することができます。感覚だけではなく、理論を覚えておくことによって「説明ができるデザイン」に仕上げることができ、説得力も増します。
ザイアンスの効果
接触回数を増やすことによって興味が湧いてきたり、親近感が湧いてしまうという効果。Webデザインだけでなく、広告バナーのデザインにも活かすことができますね。
コントラスト効果
複数の選択肢を提示された時に、それぞれが選択に影響を及ぼすという効果。Webサービスの料金プランを決める時にとても役立ちます。
バンドワゴン効果
自分が本当に好きなのかどうかに関わらず、多くの人が利用しているサービスや多くの人が購入している商品を選んでしまうという効果。食べログで店選びをしてしまうのもこれが大きく影響しているのでしょう。
ピーク・エンドの法則
「ピーク」と「エンド」の印象でサービスが評価されるという法則。意外と手を抜いてしまいがちな登録完了画面、購入完了画面のデザインはとても重要なんです。
こんな人におすすめ
デザインに心理学の知識を取り入れることによって、より優れたデザインを作ることができるということは分かっていただけたかと思いますが、特に下記に当てはまるような方は、「[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61」を読むととても参考になるかと思います。
- 感覚でデザイン制作をしてしまっている
- 広告やランディングページのデザイン制作を担当している
- 自分で作ったデザインの説明が上手くできない
- 自分で納得のいくデザインがなかなか作れない
まとめ
これまでデザイン関連書籍の中で心理学に触れられているものはいくつか読んできましたが、デザイン×心理学にテーマを絞って書かれた書籍はありそうで無かったのではないでしょうか。デザイナーだけでなく、Webサービスやアプリ制作に携わっている人も参考になる知識が多く紹介されています。
また、テクニックや技法の説明に合わせて、具体例がしっかりと紹介されているためとても分かりやすく読み進めることができました。
ぜひデザインに心理学の知識やテクニックを取り入れて、レベルアップにつなげてみてください。